弁護士法人中部法律事務所の法律相談からご依頼までの手続きや弁護士費用等に関するよくあるご質問です。
示談交渉で後遺障害等級認定以上の等級を主張することは、ほぼ不可能でしょう。
加害者の任意保険会社は、後遺障害等級認定以上の等級には応じません。
裁判で後遺障害等級認定以上の等級を主張することは可能ですが、認定を覆すに足る証拠が必要です。
後遺障害が残ってしまうと、第一に、それ自体が精神的苦痛をもたらすため、怪我に対する慰謝料とは別に慰謝料が発生します。第二に、後遺障害により労働能力が減少し、将来の収入が減ると考えられるので、その分を逸失利益として請求が可能です。
この二つがしばしば高額となるので、賠償額に差が出ます。
後遺障害逸失利益とは、後遺傷害で労働能力が低下し、将来得られなくなった収入や給料のことです。 実務上、必ずしも現実に減収が生じる必要はありません。
(少し詳しく)
後遺障害による逸失利益とは、痛みやしびれなど後遺症のために、行動範囲が制限されたり集中力がなくなるなど、本来の労働能力を喪失した場合に、労働能力の喪失がなければ得られるはずだった利益のことをいいます。
交通事故の被害者は,後遺症による逸失利益を損害として請求することができます。
後遺障害逸失利益額=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 例えば、年収500万円の方が11級(労働能力喪失率20パーセント)の後遺障害を負い、喪失期間が20年(ライプニッツ係数は12.462)と見込まれる場合、逸失利益は次のように計算されます。500万円×20%×12.462=1246万2000円
(詳しい解説)
後遺障害による逸失利益とは、痛みやしびれなど後遺症のために、行動範囲が制限されたり集中力がなくなるなど、本来の労働能力を喪失した場合に、労働能力の喪失がなければ得られるはずだった利益のことをいいます。
交通事故の被害者は,後遺症による逸失利益を損害として請求することができます。
後遺障害による逸失利益は,
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
という算定方式で算定します。
・ライプニッツ係数とは
ライプニッツ係数とは、長期間にわたって発生する収入減少を一時金に算定し直すため、すなわち、中間利息を控除するために、採用されている算出の方式です。複利方式で、利率を法定利息の5%として算出されています。
以上の計算式を利用した具体例は、次のとおりです。
事故及び症状固定時25歳の給与所得者(年収450万)の男性が、傷害を負い、後遺障害第5級の認定を受けている例
450万(基礎収入)×79%(5級の労働能力喪失率)×【17.4232[42年(労働能力喪失期間=就労年限=67歳-25歳)】に対応するライプニッツ係数]
=61,939,476円
原則として、事故に遭う前の現実収入です。現実収入以上の収入を将来得られると認められる場合には、その金額となります。 なお、失業者や主婦など、現実の収入が無い方でも、賃金センサスに基づいて計算上の収入が認められます。
(詳しい解説)
基礎収入とは、休業損害や後遺症による逸失利益、死亡による逸失利益等を算定する際の、算定の基礎となる収入をいいます。
基礎収入は,原則として事故前の現実の収入によりますが,事故前の現実の収入より多くの収入を将来得られると認められる場合には,その金額によります。
給与所得者の場合,手取額ではなく給与の税込み額を収入額とします。
事業所得者の場合,事故前年の確定申告所得額によって認定します。
家事従事者(年齢や性別を問わず、家族のために家事に従事する者をいいます)の場合,現実的な収入はありませんが,賃金センサスの女性労働者の平均賃金を参考にして、家事労働を金銭的に評価して損害算定します。
家事に従事しつつ、パートやアルバイト等をしている場合、実収入部分を女性平均賃金額に加算しないで、平均賃金を基礎収入にします。ただし、平均賃金より多額の実収入を得ている場合、実収入を基礎収入として損害額を算定します。
学生など就労前の方の場合、賃金センサスの全年齢の平均賃金額を基礎収入額とします。
無職の方の場合、失職前の収入実績や賃金センサスの平均賃金を参照に、収入実績や年齢、経歴、取得している資格・技能などから適切な金額を算定します。
原則として、後遺障害等級に応じ、その金額が決まります。 保険会社は独自の慰謝料基準を定めていますが、法的な根拠はありません。
(詳しい解説)
後遺症慰謝料とは、交通事故による後遺症のために生じた精神的損害に対する慰謝料をいいます。
後遺症慰謝料は、基本的には、後遺障害の認定等級に応じて算定します。ですが、後遺障害等級に該当しない障害・症状であっても、その部位や程度により、慰謝料が認められることもあります。また、慰謝料を算出するための基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所及び弁護士基準など種類があり、どの基準で慰謝料を算出するかで金額が変わります。さらに、被害者の介護が必要な場合など重度の後遺障害の場合には、被害者本人の分とは別に、遺族固有の慰謝料を請求できる場合もあります。
以下は、「交通事故損害額算定基準2014版」(財団法人日弁連交通事故相談センター)(弁護士基準の1つ。青い本、青本などと呼ばれています)による後遺症慰謝料です。
第1級:2,700~3,100
第2級:2,300~2,700
第3級:1,800~2,200
第4級:1,500~1,800
第5級:1,300~1,500
第6級:1,100~1,300
第7級:900~1,100
第8級:750~870
第9級:600~700
第10級:480~570
第11級:360~430
第12級:250~300
第13級:160~190
第14級:90~120
被害者が自由に病院を選択できます。加害者側の任意保険会社が病院を指定する場合もありますが、従う必要はありません。ただ、症状が重い場合には、適切な検査(MRI等)を実施すべきなので、当初は、整形外科のある中規模以上の病院が望ましいです。
(少し詳しく)
ケガの内容、程度、専門治療の有無、医師との相性や入通院のしやすさなどを踏まえて、被害者様が自由に病院を選択できます。
加害者側の任意保険会社が、病院を指定する場合もありますが、これに従う必要はありません。
ただし、症状が重い、専門的な治療が必要などの場合には、適切な治療・検査を受けるべきです。このような場合は、通院中の医師の紹介等を受け、整形外科のある中規模以上の病院に通院することが望ましいでしょう。
なお、医師の書面等による明確な指示がない限り、病院に通院し下さい。接骨院、整骨院、整体院、カイロプラクティック、鍼灸、マッサージなどは、病院ではありません。
また、何ら理由もなく不必要・不相当に遠方の病院に通院する場合、通院交通費の支払いが受けられない可能性がありますので、注意が必要です。
多くのケースでは、加害者側の任意保険会社が病院に連絡して、病院から直接保険会社に治療費を請求するように手配されます(一括払い)。 この場合、病院の窓口で負担する必要はありません。
(より詳しく)
加害者が任意保険に加入している場合、多くのケースで、被害者は、病院窓口での治療費の支払いが不要です。
被害者は、加害者側の任意保険会社に通院先の病院を連絡してください。保険会社が病院に連絡し、病院から直接保険会社に治療費を請求するよう手配されます(一括払いと呼ばれています)。
このような手配は、保険会社のサービスで行われています。
病院に対して、治療費の支払い義務を負うのは、治療を受けた方です。交通事故の被害者であってもそれは変わらず、加害者が病院に対して直接治療費の支払い義務を負うわけではありません。そのため、被害者が病院窓口で治療費を支払い、加害者側に治療費相当分の損害賠償を請求するのが本来の流れです。
しかし、交通事故の治療が長期にわたったり、治療費が高額な場合、病院窓口での支払いが、被害者に負担となる場合があります。このような被害者の負担を踏まえ、保険会社が上記のようなサービスを行っているのです。
保険会社が、あくまでサービスとして行っているものですので、保険会社が治療費の打ち切りを決定した場合などサービスの提供を拒否した場合、強制することはできません。そのような場合は、本来の流れに戻り、病院窓口で治療費を支払った後に、加害者側に治療費の請求をすることになります。
健康保険の使用を断る病院もあるようですが、法律上は使うことができます。健康保険を使うと、医療費の単価そのものが安くなり、治療費総額に大きな差が出てくる可能性があります。加害者の過失割合が100パーセントであれば、全て加害者側が負担するのでどちらでも同じですが、被害者側にも過失がある場合、健康保険を使用するかしないかによって、最終的に受け取れる賠償額が変わることがあります。被害者側の過失割合が大きい場合や、重傷で治療費が高額になる場合には、注意しなければいけません。弁護士にご相談ください。
(少し詳しく)
交通事故のケガの治療でも健康保険は使えます。
健康保険を使用するとしないとでは、治療費に大きな差が生じます。
過失割合が100%加害者にある場合は、治療費は全て加害者側負担になりますが、過失が1割でも被害者にある場合、治療費も過失割合分は被害者の負担になります。被害者負担分の治療費を考慮するなら、健康保険を使用した方がいいでしょう。
なお、病院によって、交通事故のケガの治療について健康保険の使用を断る病院もあるようです。病院側が健康保険を使用を認めない場合、健康保険の使用が可能な病院への転院も検討する必要があります。
第一に、回復に専念することです。早く良くなるために必要かつ相当な手段を尽くすことが、結局、適正で迅速な解決に繋がります。 治療は医師の判断により「治癒」又は「症状固定」となるまで続けます。ご自分の判断で通院を中断したり、医師の指示に従わなかったりすると、怪我の程度と交通事故との因果関係が不明確になり、示談の際に不利になることがあります。
(より詳しく)
医師の判断により、「治癒」または「症状固定」となるまで、医師の指示に従い、継続的・定期的に通院し、ケガの治療に専念しましょう。
交通事故のケガの治療にあたって大切なことは、必要かつ相当な治療をしっかり受けることです。仕事や家事・育児などで通院治療の時間を確保できないといった事情を抱えていらっしゃる方も少なくないと思いますが、痛みや違和感がある場合は、無理に我慢せず、病院で診察・治療を受けるようにしましょう。
ご自身の判断や都合で通院を中断したり、医師の指示に従わないでいると、ケガの程度や交通事故との因果関係不明確になり、損害賠償請求する際に、不利になる可能性があります。
そのほかの注意点としては、通院に際しては、公共交通機関や自家用車を利用できる場合は、それらを利用し、必要な場合以外はタクシー等の利用は控えてください。不必要な場合にタクシーを利用すると、加害者側から、タクシー代の支払いを拒否される可能性があります。
また、医師の指示がある場合等を除き、接骨院や整体院などでなく、医師のもとへ通院してください。
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