弁護士法人中部法律事務所の法律相談からご依頼までの手続きや弁護士費用等に関するよくあるご質問です。
遺言が民法上の効果を発生させるためには、遺言の作成方法が法律の定める要件を満している必要があります。
これに加え、遺言作成者が遺言作成時、遺言の内容を理解するに足る意思能力があったことが必要です。
遺言の作成に通常用いられる方法としては、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。また、病気で重体に陥ったり船舶や航空機の中で遭難したり、伝染病で隔離されるなど、自分で遺言書を書いたり公証人の関与を必要とする普通方式の遺言ができない場合、一般危急時遺言、難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言といった方法があります。
自筆証書遺言は、「遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」(民法968条)とされているので、ワープロやパソコン、代筆によって作成した自筆証書遺言は無効です。遺言者自身が遺言書全部を自筆で書かなければなりません。
遺言を改ざん・隠匿・変造されるのを防止するためにも、自宅の金庫、第三者に預ける、銀行の貸金庫等の方法により保管するのが良いでしょう。公正証書遺言を作成した場合は、公証役場に遺言の原本が保管されますので改ざん・隠匿・変造の恐れはないでしょう。
遺言が自筆証書遺言・秘密証書遺言である場合、開封せずに、ただちに家庭裁判所において検認手続きを経る必要があります。
遺言を原状で保全するためにも、相続人全員の立ち合いのもと開封しなければならないのです。もしも勝手に開けたり、検認を受けなかったりした場合には、5万円以下の過料を課せられます(民法1005条)。
日付の異なる遺言書が複数見つかった場合は、日付が後の遺言書が優先します。
前の遺言と後の遺言で、矛盾抵触する記述がなされている場合には、その部分については先にした遺言を後の遺言によって取り消した(撤回)ものとみなされます(民法1023条)。
もしも片方の遺言書が法律に定める方式を欠いている場合、その遺言は無効となり、方式が整っている遺言に従うこととなります。
相続人全員の同意があれば、遺言と異なる遺産分割をすることもできます。
遺言の訂正は、民法の定める要件に従って行う必要があります。
民法第968条〈自筆証書遺言〉
1. 自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。
2. 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。
具体的には、訂正する個所を二本線で消し、その横に訂正後の文言を記入、訂正個所に印鑑を押し、欄外に「○行目、○字削除、○字加入」と記載・署名するという方法を取らなければいけません。この他にも、遺言書を新たに作成することによっても、遺言書の内容を変更することが可能です。
遺言により遺留分に反する相続分の指定がなされたとしても、その遺言が当然に無効となるわけではなく、遺留分の侵害を受けた相続人が、遺留分を侵害された範囲で遺留分減殺請求を行うことができるにとどまります。
また、遺留分減殺請求を行うか行わないかは、遺留分を侵害されている相続人が各自で決める事であり、遺留分減殺請求が行われないまま遺留分を侵害する相続分の指定に従って遺産分割がなされる場合もあります。
民法には、各相続人の法定相続分についての規定があり、この規定は、被相続人が遺言を残さなかった場合に遺産分割を行う際に基準となるものです。よって、必ず法定相続分に従って遺産分割協議を行わなければならないというものではありません。遺産分割協議で共同相続人全員の合意が得られれば、法定相続分と異なる遺産分割を行うことも可能です。
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