弁護士法人中部法律事務所の法律相談からご依頼までの手続きや弁護士費用等に関するよくあるご質問です。
警察官に逮捕されると、通常、刑事の取調べを受け、警察署の留置施設に入れられます。逮捕の翌日か翌々日に検察庁に連れて行かれ、検察官から被疑事実を告げられ、言い分を聞かれます。そして、検察官が引き続き身柄拘束の必要があると判断すれば、裁判官に対して勾留請求をするので、同日か翌日に裁判所に連れて行かれて、裁判官から言い分を聞かれます(勾留質問)。裁判官が勾留の必要があると判断すると、勾留状が発せられて、10日間(10日間の延長有り)の身柄拘束が始まります。 事件が警察から検察官に送られることを送検(検察官送致)といいます。身柄が拘束されていれば身柄送検、身柄が拘束されていない事件(在宅事件)であれば書類送検といいます。いずれにしても、警察官は全ての事件を検察官に送致しなければならないのが原則です(刑事訴訟法246条)。 逮捕から身柄送検までは48時間という時間制限があります(同法203条1項)。もっとも、警察の判断で身柄から在宅に切り替えることも可能で、その場合は48時間以内に被疑者を釈放した上で、書類送検します。 そして身柄送検から勾留請求まで、24時間という時間制限があります(同法205条1項)。合計で、最初の身柄拘束から72時間という時間制限の下、一連の手続が行われます(同法205条2項)。
事実を認めているかどうかは、検察官が勾留請求をするかどうか、裁判官が勾留請求を認めるかどうかの判断に影響します。勾留の要件は罪証隠滅の虞があることや逃亡の虞があることなのですが(同法60条1項)、事実を争っている場合、それらの虞が比較的大きいと見られるためです。
しかし犯していない事実を認めてはいけません。話した内容に基づいて供述調書が作成されて、それが重要な証拠となって裁判で有罪になる危険性が極めて高くなります。否認していても釈放されるケースはあります。早い段階で弁護士に相談するのが良いでしょう。
依頼したい弁護士がいれば、いつでも連絡をとって選任することができます(私選弁護人)。
貧困その他の理由により、自分で弁護人を請求できない場合には、国選弁護人の制度がありますが、起訴前の被疑者段階では、一定の重罪事件に限られます。これに該当する場合、警察、検察、裁判所の各段階でその説明があります。そして通常は裁判官の勾留質問の際に、国選弁護人の選任請求をすることになります。
また、各都道府県の弁護士会が当番弁護士制度を運営しており、身柄を拘束されている人の依頼があれば、1度だけ無料で弁護士を派遣しています。当番弁護士制度については、警察などで説明してもらえないケースがあるようですが、身柄拘束されていれば、どんな事件でも利用できます。「当番弁護士を呼んでください」と申し出てください。家族から当番弁護士の派遣を依頼することもできます。接見に来た当番弁護士を、私選弁護人として選任することも可能です。
私選弁護人は、被疑者・被告人またはその親族が弁護士との間で私的な委任契約を締結することにより選任します。選任する時期に制限はなく、逮捕前であっても選任することができます。弁護士により費用は異なります。
国選弁護人は、資力のない者にも弁護人選任権を保障するために国が選任するものであり、資力がないことが条件になります。また、被疑者段階では一定の重罪事件で、被疑者が勾留された後でないと請求できません。どの弁護士を選任するかについては、被告人・被疑者の側から指名することができません。
もっとも被疑者・被告人の権利を擁護するために弁護活動を行う職責を有するという点では、両者に違いはありません。
被疑者の身柄は引き続き警察署の留置施設から動かされないことが多いでしょう。そして、刑事や検察官の取調べや実況見分への立会いなど、捜査への協力を求められます。その他、検察官が警察を指揮して、目撃者等の参考人に対する事情聴取や、証拠品の鑑定など、様々な捜査活動が行われます。
検察官は、原則として10日間の勾留期間の満了前に、これらの捜査の結果を踏まえ、事件を裁判所に起訴するかどうかの判断をします。ただし、やむを得ない事由があれば、さらに10日の延長が許されており、実務上はかなりのケースで延長が認められています。
弁護人以外の者については、裁判官の接見禁止命令により、面会や差し入れが禁止される場合があります。禁止されていない場合でも、弁護人以外の者は面会の回数や人数、時間などに制限があり、面会には警察官が立ち会います。面会の際は、メモをとることができます。ノートや封筒、切手などは、中で買うことができます。現金は誰かに差入れてもらうしかありません。
弁護人は、原則いつでも立会いなしで面会できます。弁護人を呼びたい場合は、警察の留置係に頼むと、電話で法律事務所に連絡をとってくれる扱いが一般的です。手紙や電報で連絡することも可能ですが、これらは弁護人相手でも検閲されます。
勾留の裁判に対する不服申立手続があります。勾留の要件がないのに勾留の裁判をしたとして、裁判官の所属する裁判所に準抗告を申し立てるものです。準抗告の審理は迅速に行われ、例えば、午後に出た勾留決定が深夜には覆され、釈放されるというケースもあります。準抗告は検察官側からも申し立てることができ、逆に勾留請求が却下された判断が覆ってしまうこともあるため、注意が必要です。
勾留の要件が途中でなくなったと思われる場合は、勾留取消の請求をします。
また、家族の危篤などの重大な理由がある場合は、勾留の執行停止という一時的な解放を請求します。
被疑者段階では保釈の請求はできません。起訴されて被告人となった後に、請求できます。
犯罪の証拠が十分揃っていても、検察官の判断で起訴しないことができ、これを起訴猶予といいます。犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の重さその他の情状を総合的に考慮し、処罰が不要と考えられる場合に、起訴猶予となります。例えば、被疑者が初犯で十分反省しており、家族も今後の監督を誓っている場合などには、起訴猶予の可能性が高まります。被害者がいる犯罪では、示談などによって被害者に弁償ができているかどうかも、重要な判断材料です。
起訴猶予は不起訴処分の一種です。不起訴であれば、その事件について前歴は残りますが、前科にはなりません。
取調べに対して供述した内容は供述調書に録取されます。供述調書では、原則として、「私は○○しました。」などといった本人の供述形式で文章が作成され、最後に読み聞かせて間違いがないかどうか確認されます。これに間違いがないとして署名指印したら、その時点の本人の供述内容の証拠として、後日の裁判で大きな意味を持ちます。
気を付けるべきことの第一は、「言いたくないことは言わなくてよい」ということ、いわゆる黙秘権です。第二に、供述する場合、自分の言いたいことと違う内容の供述調書が作成されないようにすることです。文章が作成された後でも、違う意味になる表現、足りない言葉、その他気になる点がある場合は、指摘して訂正を求め、訂正されるまで署名指印を拒否するべきです。
また、万が一、暴力や脅迫など、警察官の違法な行為があった場合、メモで記録し、なるべく早く弁護人に相談してください。これらの違法な手段で自白をとった場合には、裁判でその自白の証拠価値が否定される可能性があります。
事案にもよりますが、自白している事件であれば、起訴されてから2~3ヶ月で判決が出るケースが多いでしょう。否認していると、証拠調べに時間がかかるので、長くなります。
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